HELLO! FROM NEW YORK

BELLOCQ ティーアトリエで楽しむブルックリン的時間。


Sep 3rd, 2014

edit_akiko ichikawa

ブルックリンでおいしいお茶を楽しむ。

今や観光地化してしまったといってもいいブルックリンのウィリアムズバーグを北へ、マッカレンパークを越えたあたりから少し”かつての”ブルックリンらしい、よりローカル志向でゆるやかな雰囲気になってきます。この「グリーンポイント」と呼ばれるエリアにも、最近ではいろいろなショップやレストランが出来始めていますが、今回はブレンドティの専門店「BELLOCQ Tea Atelier(ベロック ティー アトリエ)」をご紹介しましょう。

コーヒーの世界ではセカンドウェーブとかサードウェーブとか、いろいろトレンドもあるようですが、ことお茶に関してアメリカはかなり後進国といってよいでしょう。高級レストランでさえ、大量生産されたようなティーバックのお茶のセレクションしかないといったところもあり、ヨーロッパやそして日本のように食後や一服の時間にゆっくり美味しいお茶を飲む、という習慣が文化としては根付いていないのかもしれません。

「かつてニューヨークではなかなか美味しいブレンドティが手に入らなかった、だからこの店を開こうと思いついた。アジアはもちろん、南米やヨーロッパなど世界各地から集めた茶葉やハーブなどを自分たち流にミックスしフレーバーをひとつひとつ開発していった」と語ったのは創始者のひとりマイケルさん。

ブレンドの種類は今も増え続けているそうですが、そのひとつひとつに付けられている名前もユニークです。例えばカフェインフリーのルイボスティをベースに子どもが大好きなチョコレートがブレンドされたNo.42は「Little Dickens, Children Tea」、セイロンティにローズやラベンダーなどをミックスし、まるで英国の庭園のような香り豊かなNo.47は「The Queen’s Guard」と命名されています。

そしてもうひとりの創始者ハイジさんによれば「ティーをブレンドするのは、物語を紡ぐのと似ているの。インスピレーションとセンセーション、それがティーブレンドの始まりなのよ。お茶というのはそんなに高いものじゃないけど、毎日楽しめるラグジュアリーな嗜好品」なんだとか。彼女はもともとライフスタイル誌『Martha Stuart Living』の編集者であり、またスタイリストだった人。マイケルさんもMartha Stuart社で商品開発などをして来た人だけあって、ふたりの生活術と審美眼が詰ったのがここのブレンドティであり、ショップ空間といっていいでしょう。

“店内には彼らが選んだ本や雑貨も販売されており、奥にはお茶を試飲できるスペースも。こだわりのブレンドティの味と薫りを、ゆっくり楽しみながらショッピングするという、そんな時間の流れを感じるのも、グリーンポイントらしい体験かもしれません。

BELLOCQ Tea Atelier
104 West Street, Brooklyn, NY
Tel: 347-463-9231
12-6pm ( Wed & Thu), 12-7pm (Fri & Sat), 12-5pm (Sun) 月、火曜定休
http://www.bellocq.com

Navigator
市川 暁子

フリーランスのジャーナリストとしてNYのファッションやカルチャー、ライフスタイルに関する記事を雑誌や新聞に寄稿。NYコレクションの取材は10年以上続けており、CFDA(アメリカファッション協議会)ファッション大賞のデザイナーもノミネートしている。ほか、並行してブラジルのサンパウロおよびリオのファッションウィーク取材も継続中。2007年には『NYのおみやげ』(ギャップジャパン)を、2013年にはブラジル人イラストレーター、フィリペ・ジャルジンの作品集『スケッチ&スナップ』(六燿社)を編集、出版した。www.originalslope.com

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