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HELLO! FROM NEW YORK
アートマガジンの『Frieze』が始めたロンドン発のアートフェアがニューヨークで開催されるようになって今年で3年目。アートフェアは他にもニューヨークで色々と行なわれていますが、近年ではこの「Frieze Art Fair」がますます注目を集めるようになってきています。
今年は5月9〜12日の4日間、イーストリバーに浮かぶランダル島にて開催されました。会場まではウォータータクシー(船)か専用バスなどを利用します。私はウォータータクシーに乗ってみたのですが、片道約20分、ちょっとしたクルーズ気分も味わえるのも一興でした。
特設テント内はブースに区切られ、全世界から選りすぐりの190のアートギャラリーがずらりと並びます。どのギャラリーがどのアーティストを扱い、そしてどんな作品を展示しているか、をひとつ屋根の下でチェックできるこの機会は今のコンテンポラリーアート業界の縮図、といってもいいかもしれません。
会場にはアートブックばかりを販売する書店コーナーや、ブルックリンの人気ピッツェリア「ロベルタ」などニューヨークの有名店が手がけるカフェやレストランもあり、実際アートを購入しなかったとしても充分楽しめるイベントといっていいでしょう。
でも「もしも自分の家をアートで飾るなら?」とシミュレーションしながらお気に入りのアーティストをコレクター気分で探してみるのも楽しいかもしれません。
そんな”妄想ショッピング”中に私が気付いたのは、言葉/文字を使ったアートを展示したギャラリーが実に多かったこと。ガゴシアンギャラリーはエド・ルシェによる「O」とか「Co.」、「Let’s」といったワードが描かれている作品をイチオシしていましたし、303ギャラリーではダグ・エイケンの「I Think Very Deeply」という作品を展示していました。ほかにも気になり出すと、どこのギャラリーにもあるのではないか? というくらい言語モチーフのアートが溢れていたように感じます。
アートの始まりはそもそもヴィジュアルを媒介とした表現だったのだと思うのですが、それが言葉を取り込み、より直接的に観る人に関わろうとしている。そんな積極的なアティテュードを持ったアート、とでもいうのでしょうか? その言葉自体はコンセプチュアルだったとしも、あまりにもたくさん見ていると、なんだか饒舌すぎるような気もしてきました……。というわけで天の邪鬼な私が今回特に気になったのは、もっとクラシックな抽象画のペインティング、でした。色自体の組み合わせが素敵だったり、筆の運び自体に技の感じられるような。
以上は私のつれづれなる感想ですが、そんなアートについての思いを自由に巡らすことができるのもアートフェアの面白い機能かもしれません。
Frieze Art Fair New York
https://frieze.com/
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市川暁子
フリーランスのジャーナリストとしてNYのファッションやカルチャー、ライフスタイルに関する記事を雑誌や新聞に寄稿。NYコレクションの取材は10年以上続けており、CFDA(アメリカファッション協議会)ファッション大賞のデザイナーもノミネートしている。ほか、並行してブラジルのサンパウロおよびリオのファッションウィーク取材も継続中。2007年には『NYのおみやげ』(ギャップジャパン)を、2013年にはブラジル人イラストレーター、フィリペ・ジャルジンの作品集『スケッチ&スナップ』(六燿社)を編集、出版した。www.originalslope.com
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