HELLO! FROM NEW YORK

Vol.41 NYのアパート最新事情。


Apr 23rd, 2014

Edit_Akiko Ichikawa

日本では入社式や新学期など新年度がスタートする季節となりましたが、ニューヨークもようやく春らしくなってきました。この時期お引っ越しする方も多いかもしれませんね。今回はニューヨークの住宅事情についてのお話です。

ニューヨークで気に入ったアパートを見つけるのは、正直いって大変なことです。家賃は世界で一番高い部類といっていいでしょう。私がニューヨークに住み始めた2000年初頭はマンハッタンのスタジオ(1ルーム)は800ドルから、と言われていましたが、最近ではその倍ぐらいといっていいかもしれません。マンハッタンの家賃高騰は今やブルックリンにも飛び火して、特にウィリアムズバーグ地区はほぼマンハッタン並みの家賃か、むしろ高いくらいの物件も登場しているようです。

日本でも最近「シェアハウス」というのが増えているようですが、家賃を節約するためにニューヨークでもルームメートと一緒に暮らすのはとてもポピュラーなことです。ロフトスタイルの広いスペースの物件に壁をたてて小分けにし、何人かで住むといったスタイルの部屋も。

私はこれまでずっとローワー・イースト・サイド界隈に住んでいますが、このあたりもここ10年ほどですっかり変わりました。昔はラティーノたちの経営するデリや床屋さんなどもたくさんあったのが、みるみるお洒落なカフェやお店に変わり、そしてそれに伴って家賃もぐんぐん上がっていきました。

バワリーストリートは元々業務用の調理器具や食器類などを売る問屋街だったのですが、2007年ニューミュージアムがオープンして以来、様変わりしました。日本の建築事務所SANAAが設計したミニマルなデザインのビルはこの辺りの雑多でゲットーな雰囲気を一気に変えたといっていいでしょう。数軒となりには世界的に有名な建築家ノーマン・フォースターによるギャラリービルもオープン。もともとバワリーにはホームレス用のシェルターがあり(今も)、この辺りにはホームレスや日雇い労働者が集まるような場所だったのですが……。

そしてつい最近のビッグニュースといえばエリザベス&ケンマーストリートの角にある駐車場ビルの敷地が21ミリオンドル(約21億5000万円)で売却され、近く安藤忠雄設計によるコンドミニアムビルに変わるそうです。
通りの反対側には2011年にオープンした「ノリータンホテル」があり、この界隈の風景もまた変わりつつあります。

マンハッタンの広さは山手線の枠内に入ってしまうほどなのですが、街並は常に動き、その表情を変えているようです。そのスピード感がニューヨークという都市にエネルギーを与え、またダイナミズムとなっているのは間違いありません。でも、長く住んでいると、それ(特に家賃の上昇)についていくのもなかなか大変なのですが……。


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市川暁子

フリーランスのジャーナリストとしてNYのファッションやカルチャー、ライフスタイルに関する記事を雑誌や新聞に寄稿。NYコレクションの取材は10年以上続けており、CFDA(アメリカファッション協議会)ファッション大賞のデザイナーもノミネートしている。ほか、並行してブラジルのサンパウロおよびリオのファッションウィーク取材も継続中。2007年には『NYのおみやげ』(ギャップジャパン)を、2013年にはブラジル人イラストレーター、フィリペ・ジャルジンの作品集『スケッチ&スナップ』(六燿社)を編集、出版した。www.originalslope.com

大人のエンターテイメント型レストラン「ヒース」。

ダンボに出来た秘密のお菓子カフェ。


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