HELLO! FROM NEW YORK

Vol.37 NYのミニシアターで映画鑑賞!


Mar 5th, 2014

Edit_Akiko Ichikawa

今年のアカデミー賞もついに発表されましたが、皆さんはどの映画、俳優さん、女優さんがご贔屓でしたか? 映画は3Dの大画面で観るのもダイナミックで楽しいですが、地元に根付いたような、個性ある小さな映画館で観るのも私は大好きです。今回はダウンタウンにある、おすすめの3館をご紹介します。

ローワーイーストサイドにある『サンシャイン・シネマ』はいかにも街の映画館! といったクラシカルな外観。この建物は1898年に建築された由緒あるもので、もともとはジューイッシュの集会場として映画が上映されていたようです。その後、50年以上は倉庫として使われていましたが、2001年に改めて映画館として再オープンしました。

アート性の高い作品を中心にした演目に定評があり、積極的に世界の新人監督の作品も発掘して上映しています。現在はアカデミー賞で作品賞などを受賞した「それでも世は明ける」(原題:12 Years a Slave)も上映中。また、週末の深夜には過去の人気作をリバイバル上映したりもしているので、ディナーの後にふらりと立ち寄ってみるのはいかがでしょうか。3月7日からは宮崎駿の作品を上映するようです。

『フィルムフォーラム』はNYでは唯一の非営利の映画館。ウェストヴィレッジの片隅にあるダウンタウンらしい佇まいが好きです。ここは新進映画監督の新作のほか、往年の名作もリバイバル上映しています。3月はヒッチコックのシリーズをやっていますが、私は以前ゴダール映画のシリーズを鑑賞したことがあります。英語のヒアリングに自身がない方も、過去に観たことがあるものだったらストーリーもわかっているので楽しめるのではないでしょうか? 雰囲気のあるNYの映画館で観なおす、というのも新鮮かもしれません。

『フィルムフォーラム』の歴史は1970年に遡ります。アッパーウェストサイドでたった1台の映写機と50脚の椅子で小さくスタートしました。その2年後、当時まだ23歳だったカレン・クーパーがディレクターとなり、現在に至るまでインディペンデントフィルムを愛する人々の聖地として存続し続けています。彼女の審美眼や功績は業界でも希有なもので、MoMAにもトリビュートされたことがあるほどです。

『アンジェリカフィルムセンター』は1989年のオープン。ソーホーの中心地という立地もよく、私もよくチェックする映画館です。ここは広々としたカフェが館内にあるところがいいです。連れの人と待ち合せするのも便利ですし、上映までの時間をゆったり過ごすことができます。フード類もいわゆるアメリカの映画館によくあるポップコーンとホットドックといったジャンクフードでなく、キッシュやブラウニーといったカフェメニューが充実しているのも特長です。

そういえば、アメリカ人たちは映画館でバケツみたいに大きなサイズのポップコーンに、何リットル? というような大量のコーラを買っている光景を多くみかけます。夏場は冷房もきついので(日本人には寒すぎる温度設定です)、映画の途中にトイレに行きたくならないのかな? とか余計なお世話ですが、あれだけの量のものがよく体内に入るものだと感心します…。

話は逸れましたが、 やっぱり映画を映画館に行ってみる、というのはどんな時代も贅沢な気分になれるものだと思います。ネットで何でも手に入る時代ですが、上映までのわくわくする気持ちや、エンドロールの後、感動を胸に席を立つ感覚というのは何にも代え難い体験ではないでしょうか?

Sunshine Cinema 143 East Houston St. New York T: 212-260-7289 http://www.landmarktheatres.com/market/newyork/sunshinecinema.htm

Film Forum
209 West Houston St. New York
T: 212-727-8110
http://www.filmforum.org

Angelika Film Center
18 West Houston St. New York
T: 212-995-2570
http://www.angelikafilmcenter.com


NAVIGATOR
市川暁子

フリーランスのジャーナリストとしてNYのファッションやカルチャー、ライフスタイルに関する記事を雑誌や新聞に寄稿。NYコレクションの取材は10年以上続けており、CFDA(アメリカファッション協議会)ファッション大賞のデザイナーもノミネートしている。ほか、並行してブラジルのサンパウロおよびリオのファッションウィーク取材も継続中。2007年には『NYのおみやげ』(ギャップジャパン)を、2013年にはブラジル人イラストレーター、フィリペ・ジャルジンの作品集『スケッチ&スナップ』(六燿社)を編集、出版した。www.originalslope.com

ジャマイカの味とカルチャーを体験できるレストラン。

2014年秋冬NYコレクション、オフランウェイ顛末記。


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