マンハッタンの57丁目といえばミッドタウンの目抜き通り。五番街の角にはティファニーやルイヴィトンといった世界の高級店が軒を並べ、1ブロック北には音楽の殿堂カーネギーホールや、ニューヨーカーの緑のオアシスともいえるセントラルパークもあります。

まさに摩天楼の中心ともいえるようなこの立地に新しいホテル「VICEROY New York」が昨年末にオープンしました。グリッドのデザインが際立つ、アールデコ調の外観は周囲のビルに自然と融け込み、新しいビルだということを主張しすぎていません。

このホテルのデザインを担当したのはNYで人気の高いインテリアデザイン事務所ローマン＆ウィリアムス。ロビンさんとスティーブンさんという夫妻による事務所で、NYの「エースホテル」のロビースペースやスタンダードホテルの「ブンブンルーム」、そして最近ではレストランの「ラファイエット」なども彼らが手がけ、どこも人気のスポットとなっています。

今回のホテルは彼らにとってはインテリアだけでなく、ビル自体のデザインも担当した初めてのプロジェクトで、そのコンセプトはモダニズム建築の巨匠であるミース・ファン・デル・ローエによる「美は細部に宿る」という有名なフレーズに基づいているのだそうです。

1940〜50年代に製作されたフィルム・ノワールをインスピレーションにして、そのスタイリッシュかつセンシュアルなイメージもデザインに活かしたんだとか。

さらに1920〜30年代のアールデコを彷彿させる、グラフィカルなグリッドを基調としたマスキュランな外観に、ロビースペースはマーブルやレザー素材などを使ってエレガントさを加えているのも特徴といえるでしょう。

客室の家具は全て特注で、ベッド周りのコンパートメントは船室をイメージしているそうです。グレーからモスグリーンのカラーパレットにブラスがポイントになったバスルームは、なんとドル札のカラートーンを表現しているのだとか。改めてお札の色と見比べてみると「確かに！」と納得できます。窓からはセントラルパークが見える部屋も多く、ミッドタウンならではの眺望も楽しめそうです。

全体に落ち着いた雰囲気なので、ホリデーはもちろんビジネスでNYに来られる方にもお薦めしたい大人のための新ホテルです。