Vol.51 トラッドな春夏スーツ服地の知識を蓄えれば仕事も快適にこなせる。
サマースーツの定番服地となるウールトロについて、ニューヨーカーのチーフデザイナーの声と共にその特徴を予習。今シーズンのス...
HELLO! FROM NEW YORK
ニューヨーカーも意外と行列をするのが好きってご存知でしたか? 特に彼らは甘いもののためなら例え早朝からでも、そして何時間でも列をつくって辛抱強く待つことにためらいはないようです。特にクロナッツ(Cronuts™)のためだったらなおさら!
すでにご存知の方も多いかもしれませんが、クロナッツとはクロワッサン+ドーナッツを掛け合わせた新しいデザートで、NYのソーホー地区にあるドミニク・アンセル・ベーカリー(Dominique Ansel Bakery)で販売されています。1個5ドルのこのお菓子を買うために、朝5時半から毎日行列ができているくらいニューヨーカーたちを熱狂させているという話題の商品なのです。
クロナッツは1日に350個限定でつくられ、購入できるのはひとり2個まで。その購入をめぐってはebay(オークションサイト)などで1000ドル以上の値がついたと噂されるほどに白熱しています。さて一体どんなお菓子なのでしょうか?
私は、クロナッツをとあるブランドの展示会で試食したことがあります(すみません、私は列には並んでいません……)。ちなみに、そのブランドのご担当者の話では1日10個だけ、特別購入させてもらっているとの話でした。でも購入するには朝5時に行かないといけなかったそうで、その会社のインターンの男の子(しかもイスラム系の子で当時はラマダン中だったとか!)が展示会期間中、毎朝ソーホーのお店までピックアップに行っていたそうです……。
さて、肝心のお味について。クロワッサン生地を揚げたドーナッツはサクサクというよりはもっちりした食感、そしてその間にはクリームが挟まれ、そして上からはシュガーコーティングがされているという、正直いってハイカロリー選手権! のようなおやつだと思いました。そんなに貴重なお菓子ということもあって、私は1/4個だけいただきましたが、正直、それだけでも充分満足……といった感想です。でももしかしたら、実際自分で朝5時から並んで購入したら、また違った感想になるのかもしれません……。
ちなみに、このお菓子を考案したアンセルさんはパリの出身、フォションで7年、そしてNYに移住してからは有名シェフのダニエル・ブーレーのもとで6年ペイストリー・シェフを勤めました。NYでは様々な媒体でトップシェフとして何回も選出されているほどの力量をもつ人です。
すでにクロナッツに似たレシピのお菓子はいろいろ出回っているそうですが、オリジナルは既に商標登録されていて、クロナッツと呼べるのはここのベーカリーで作られたものだけなのだそうです。この5月から発売されてすでに半年。月代わりでフレーバーも変わるという作戦も功を奏して、今もなお行列は続いているとか。ちなみに10月のフレーバーはキャラメライズド・アップル。NYにご旅行にいらっしゃる皆さんは、時差ぼけを利用して到着翌日の朝に並んでみる、というのも一興ではないでしょうか?
Dominique Ansel Bakery
189 Spring St. New York, NY10012
T: 212-219-2773
http://dominiqueansel.com
NAVIGATOR
市川暁子
フリーランスのジャーナリストとしてNYのファッションやカルチャー、ライフスタイルに関する記事を雑誌や新聞に寄稿。NYコレクションの取材は10年以上続けており、CFDA(アメリカファッション協議会)ファッション大賞のデザイナーもノミネートしている。ほか、並行してブラジルのサンパウロおよびリオのファッションウィーク取材も継続中。2007年には『NYのおみやげ』(ギャップジャパン)を、2013年にはブラジル人イラストレーター、フィリペ・ジャルジンの作品集『スケッチ&スナップ』(六燿社)を編集、出版した。www.originalslope.com
マンハッタンの瞑想空間 森万里子展覧会へ。
ファッション業界の立役者ともいえる”彼ら”のファッション史。