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HELLO! FROM NEW YORK
今回は、私がニューヨークで最も好きな場所のひとつ「Jane’s Carousel(ジェーンズ・カルーセル)」をご紹介しましょう。
ニューヨークのブルックリンにあるダンボ地区、イーストリバー越しにロウワ―・マンハッタンの摩天楼が眺められるブルックリン・ブリッジ・パークがあります。メリーゴーランド「ジェーンズ・カルーセル」は、この川岸の公園の丁度真ん中あたりにあります。これはもともと1922年、フィラデルフィアの工房で製作されたヴィンテージのメリーゴーランドで、この公園に置くためにジェーン・ワレンスカさんという人が80年代半ばに購入したものでした。
ジェーンさんの旦那さんであるデヴィッドさんは、このメリーゴーランドがある一帯ダンボ地区を開発したディベロッパーとして有名な人です。川沿いの公園を整備する計画にも携わっていましたが、市の政策が変わったりして、すぐにはメリーゴーランドを設置することができませんでした。
元々は化粧品会社のアートディレクターとしても活躍したジェーンさんは、その間、自らも絵筆を持ち、コツコツと修復作業を続けました。というのも購入時はかなりダメージも大きく、色もずいぶんはげていたそうです。メリーゴーランドが作られた当時の文献などもあり、できるだけオリジナルに近い形で忠実に復元していきました。
そして2011年、購入から20年以上もの時を経てついに公園が完成することになり、メリーゴーランドを入れるための建築物を、世界的にも有名な建築家ジャン・ヌーベル氏に依頼することになりました。
透明なボックス型の建築は、館内のガラス越しにマンハッタンの風景や橋などを見渡すことができます。木彫の馬の躍動感あふれる様子やメリーゴーランド自体のクラシックな雰囲気が、シンプルなデザインの”箱”に入れられることによって、よりひきたてられている名建築だと思います。古いものを大切にしながらも新しくモダンに甦らせるという意味でも、非常にニューヨークらしいプロジェクトだといえるでしょう。
そして一番ロマンティックなのは夕暮れどきから夜にかけての時刻です。ブルックリン・ブリッジ越しに見えるマンハッタンの夜景をバックに、メリーゴーランドがまるで宝石箱に入った美しいジュエリーのように輝き出すのです。子どもはもちろん、大人にも是非訪れて欲しい、ニューヨークの新名所です。
Jane’s Carousel
Brooklyn Bridge Park, Brooklyn, NY
11:00~18:00 (5月4日以降は11:00~19:00)
火曜定休 http://janescarousel.com
NAVIGATOR
市川暁子
フリーランスのジャーナリストとしてNYのファッションやカルチャー、ライフスタイルに関する記事を日本の雑誌、新聞に寄稿。 最近は、NYコレクションの他、ブラジルのサンパウロおよびリオのファッションウィーク取材を毎シーズン続けている。07年には初の単行本『NYのおみやげ』を出版。
www.originalslope.com
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