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HELLO! FROM NEW YORK
まだまだ寒さが続くNYですが、2月7〜14日の日程で 2013年秋冬NYコレクションが開催されました。約1週間の会期中には、約300ものブランドが新作を発表します。多いときは同じ時間帯に5つのブランドがショーやプレゼンテーションをスケジュールしているくらいで、その数は他都市と比べても抜きん出て多いといえるでしょう。
メイン会場はメルセデスベンツがメインスポンサーとなってつくられた特設会場で、アッパーウェストサイドにあるリンカーンセンターの一角にあります。ほかのデザイナーによっては、チェルシー地区のアートギャラリーやトレンディなデザインホテルなど自分のブランドとシーズンのインスピレーションにあわせ趣向を変えた会場選びをしている人も多くいます。
最近ではどこの会場前にも、ショーにやってくるおしゃれなゲストの私服を撮影しようとするフォトグラファーの群が待ち構えています。ファッション誌のエディターやスタイリスト、ショップのバイヤーやショーに出演するモデルたち……。彼女たちのリアルな着こなしのほうが、ランウェイや雑誌よりも参考になって面白い、ということでしょう。
リンカーンセンターのメイン会場内には、今シーズン3つの会場が設けられ、集客人数やショーの形式によって使い分けられました。一番大きなものは「シアター」と名付けられ、いわゆるモデルたちが次々に歩いて登場するランウェイショー用に使われました。小さいものは「ボックス」という名称で、最近増えているプレゼンテーション形式専用です。これは新作を身に纏ったモデルたちが会場内でポーズしているというものです。ランウェイだと5分くらいでショーが終わってしまいますが、プレゼンであれば1時間ずっと服を見せるチャンスがあるということと、より間近で服を見てもらえるというので、特に若手デザイナーはこの形式をとる人が多いです。「スタジオ」はふたつの会場の中間サイズ。ブランドによってランウェイだったりプレゼンだったりに使われていました。
ショーの招待状も最近はデジタル化が進み、Eメール添付のデザイナーが増えています。リンカーンセンターで開催されるショーにはバーコードがついていて、会場内にある機械でスキャンすると、自分のシート番号が入ったレシートが出て来るという仕組みになっています。レシートでショー会場に入るのはちょっと味気ない気もしますが、自分の席を確認するために長い列に並ぶよりはスマート、といえるのかもしれません。
2013年の秋冬といえば、ちょうど半年〜1年後にあたるわけですが、こうして次の季節の準備がもう着々と始まっているのです。
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市川暁子
フリーランスのジャーナリストとしてNYのファッションやカルチャー、ライフスタイルに関する記事を日本の雑誌、新聞に寄稿。 最近は、NYコレクションの他、ブラジルのサンパウロおよびリオのファッションウィーク取材を毎シーズン続けている。07年には初の単行本『NYのおみやげ』を出版。
www.originalslope.com
ますます進化する靴のデザイン。
今、話題のノマド地区。